ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
いや、おかしくない、おかしくない。
って言うか、言われずともそう挨拶すべきだったとも思う。
でも、そんな挨拶これまで口にしたこともないし、しかもオフィスで……って思ったら、それが正しいのかもわからなくなった。
「えっ……と、その……」
困り果てて俯いて、しどろもどろになる私を見下ろして、清水さんはついに吹き出した。
そして、ごめんごめん、と言いながら涙まで浮かべている。
「いい、いい。ごめん、ちょっとからかってみた。まだ慣れないだろうし、さすがに職場じゃ恥ずかしいよね」
「は、はい。……すみません」
肩を竦めて俯いたまま謝ると、清水さんはやっと笑うのを抑えて、私の手から書類をスッと抜き取った。
「って言うか、俺、ちょっと沢木さんに聞きたかったんだよね」
笑みが引くのと同時に、清水さんは少し声を低めた。
「はい……?」
なんだろう?と顔を上げると、清水さんはグッと背を屈めて、私を覗き込んで来る。
「……誓いのキスを誤魔化すような男と結婚して、本当に幸せになれるの?」
「っ……!?」
低い声で撫でるようにゆっくり言われて、私は思わず息を飲んだ。
そして、反射的に清水さんの目を真っ直ぐ見つめてしまう。
「なっ……、何を言ってるんですか」
ハッと我に返って。
引き攣りながらもなんとかそう言い返した。
って言うか、言われずともそう挨拶すべきだったとも思う。
でも、そんな挨拶これまで口にしたこともないし、しかもオフィスで……って思ったら、それが正しいのかもわからなくなった。
「えっ……と、その……」
困り果てて俯いて、しどろもどろになる私を見下ろして、清水さんはついに吹き出した。
そして、ごめんごめん、と言いながら涙まで浮かべている。
「いい、いい。ごめん、ちょっとからかってみた。まだ慣れないだろうし、さすがに職場じゃ恥ずかしいよね」
「は、はい。……すみません」
肩を竦めて俯いたまま謝ると、清水さんはやっと笑うのを抑えて、私の手から書類をスッと抜き取った。
「って言うか、俺、ちょっと沢木さんに聞きたかったんだよね」
笑みが引くのと同時に、清水さんは少し声を低めた。
「はい……?」
なんだろう?と顔を上げると、清水さんはグッと背を屈めて、私を覗き込んで来る。
「……誓いのキスを誤魔化すような男と結婚して、本当に幸せになれるの?」
「っ……!?」
低い声で撫でるようにゆっくり言われて、私は思わず息を飲んだ。
そして、反射的に清水さんの目を真っ直ぐ見つめてしまう。
「なっ……、何を言ってるんですか」
ハッと我に返って。
引き攣りながらもなんとかそう言い返した。