ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
「それでいいんです。私は、響さんの家族にしてもらえただけですから」
私が響さんに求められたのはそういう役どころだから。
ゆっくり息を吐きながらそう告げると、清水さんは一瞬黙りこくった後、フッと笑った。
「献身的な愛だね」
「どうとでも言って下さい」
「それじゃあ萌ちゃんは、倉西が他の誰かに『恋』をしても、認めるんだ?」
「え?」
思いもしなかった言葉を耳にして、私は思わず清水さんを真っ直ぐ見つめた。
「ああ、ごめん。『恋』じゃないか。どういう経緯か知らないけど、倉西は君と結婚した。
これから始まるとしたら、どういう感情でも『不倫』だ」
「ふ……」
さすがに自分の口からは言うのを憚ってしまう言葉だった。
「でも、萌ちゃんはそれを黙認するんだ。一人占めしないって、そういうことだろ?
なるほどねえ……それじゃ、誓いのキスを誤魔化すのも当然か」
「っ……」
サラッと言われたからこそ、グサッと心に突き刺さった。
「面白い関係だね。まあ、君も言う通りお互い様なら、それでもいいのかな」
それ以上は聞いていられずに、私はガタンと音を立てて席を立った。
失礼します、と頭を下げて、まだ半分以上残っている定食のトレーを手にしてテーブルに背を向ける。
頭の中では、清水さんの言いたいこともよくわかっていた。
恋心のいらない夫婦関係。
もしも響さんがそれを求める時が来たら、私は他の誰かの存在を許容しなければいけない。
どんな経緯でも、まだ新婚なのに……。
そんなことを考える自分が、なんだか切なかった。
私が響さんに求められたのはそういう役どころだから。
ゆっくり息を吐きながらそう告げると、清水さんは一瞬黙りこくった後、フッと笑った。
「献身的な愛だね」
「どうとでも言って下さい」
「それじゃあ萌ちゃんは、倉西が他の誰かに『恋』をしても、認めるんだ?」
「え?」
思いもしなかった言葉を耳にして、私は思わず清水さんを真っ直ぐ見つめた。
「ああ、ごめん。『恋』じゃないか。どういう経緯か知らないけど、倉西は君と結婚した。
これから始まるとしたら、どういう感情でも『不倫』だ」
「ふ……」
さすがに自分の口からは言うのを憚ってしまう言葉だった。
「でも、萌ちゃんはそれを黙認するんだ。一人占めしないって、そういうことだろ?
なるほどねえ……それじゃ、誓いのキスを誤魔化すのも当然か」
「っ……」
サラッと言われたからこそ、グサッと心に突き刺さった。
「面白い関係だね。まあ、君も言う通りお互い様なら、それでもいいのかな」
それ以上は聞いていられずに、私はガタンと音を立てて席を立った。
失礼します、と頭を下げて、まだ半分以上残っている定食のトレーを手にしてテーブルに背を向ける。
頭の中では、清水さんの言いたいこともよくわかっていた。
恋心のいらない夫婦関係。
もしも響さんがそれを求める時が来たら、私は他の誰かの存在を許容しなければいけない。
どんな経緯でも、まだ新婚なのに……。
そんなことを考える自分が、なんだか切なかった。