ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
これ以上多くを望んで願ったりしたら、絶対バチが当たる。
だから、このままがいい。
今のまま……私を愛してくれなくてもいいから、響さんが他の誰かに恋する未来が来なければいい。
清水さんに言われたことを思い出しながら無意識に唇を噛んだ時、さっきの店員さんが生ビールのジョッキを二つ片手に持って来た。
お待たせしました~と呑気な声で言われて、私も美砂子も一度会話を中断せざるを得ない。
ほとんど同時にジョッキを手に持って、半分惰性で乾杯をした。
美砂子は何口か一気に煽ってから、私を上目遣いに探ってくる。
「……私、めぐが恋愛経験豊富じゃないの、知ってる」
「もういっそ『未』経験って言ってくれていいよ」
「だからこそ、めぐだけでもちゃんと恋しようよ。人生九十年って時代なのに、二十五歳で打ち止めじゃ勿体無いじゃない」
キビキビした口調で言い切られて、私は一瞬口籠った。
右手にジョッキを持ったまま、美砂子は左手でテーブルを叩いた。
「めぐは、今からでも、倉西さんに恋すべきだと思う」
「……」
少しだけ中身の減ったジョッキを両手で持って、ユラユラ揺らしながら、私はぼんやりと目線を宙に向けた。
だから、このままがいい。
今のまま……私を愛してくれなくてもいいから、響さんが他の誰かに恋する未来が来なければいい。
清水さんに言われたことを思い出しながら無意識に唇を噛んだ時、さっきの店員さんが生ビールのジョッキを二つ片手に持って来た。
お待たせしました~と呑気な声で言われて、私も美砂子も一度会話を中断せざるを得ない。
ほとんど同時にジョッキを手に持って、半分惰性で乾杯をした。
美砂子は何口か一気に煽ってから、私を上目遣いに探ってくる。
「……私、めぐが恋愛経験豊富じゃないの、知ってる」
「もういっそ『未』経験って言ってくれていいよ」
「だからこそ、めぐだけでもちゃんと恋しようよ。人生九十年って時代なのに、二十五歳で打ち止めじゃ勿体無いじゃない」
キビキビした口調で言い切られて、私は一瞬口籠った。
右手にジョッキを持ったまま、美砂子は左手でテーブルを叩いた。
「めぐは、今からでも、倉西さんに恋すべきだと思う」
「……」
少しだけ中身の減ったジョッキを両手で持って、ユラユラ揺らしながら、私はぼんやりと目線を宙に向けた。