ウェディングロマンス～誓いのキスはふたりきりで～

「う～……」


自分の唸り声が耳触りで、私はぼんやりと目を開けた。


カーテンの隙間から、日射しが挿し込んでいる。
意識してみると眩しくて、私は眉間に皺を寄せた。


このジワジワ来る頭痛は、美砂子と散々飲んだせいか。
いくら週末だからって、ちょっと飲み過ぎたかもしれない。


心の奥底で反省しながら寝返りを打って、ハッと我に返って飛び起きた。
枕元に置いた携帯を手探りで掴んで、時間を確認する。
そして、一瞬にして絶望した。


十時っ！？　もう十時っ！？


慌ててベッドから飛び降りて、わたわたと着替える。


洗濯しなきゃ。掃除もしなきゃ。少し落ち着いたら買い物に行って、夕食の下ごしらえをしなきゃ。


いくら仕事は休みでも、私にはやらなきゃいけないことが山積みだ。
なのに午前中の清々しい時間が、もうあと二時間で終わってしまう！！


くしゃくしゃの髪を一纏めにしながら、ドアを開けてリビングに飛び出す。


「おはよう」


途端に、涼しい声が掛けられた。


ハッとして顔を上げると、ラフな格好をした休日スタイルの響さんが、コーヒーを飲みながらソファで新聞を捲っていた。


朝からリラックスした響さんの姿を見るのは、なんというかとても新鮮だ。
スーツにネクタイ姿じゃなくても、響さんはやっぱりカッコいい。


だからこそ。


「す、すみませんっ！！」


サーッと全身から血の気が引いて行くような感覚を味わった。