蒼き瞳~月の姫と悪魔~


ズキンッ…

いって…
やっぱ母さんは手加減なしか

すでに目では母さんの動きは全く見えない

これが王の力か…

だけど俺はその王の子どもだ
俺に出来ないわけがない

焦るな…敵は目で見るだけじゃない
全身を研ぎ澄まして感じるんだ…
風の動き…空気の振動……

基本だって…母さんが教えてくれた事だ!


―――――見えたっ!




*華夜*



華夜「――…」


あのスピードの私の一撃を受け止めた…
さっきよりスピードを上げたのにその動きを見切った上に一発で受け止めるなんて…


冬夜は嬉しそうにニッと笑った


華夜「…さすが私と柚綺の子ね
でも…」


チャキ……



冬夜「まじかよ…っ!」



冬夜の背後から分身の私が刀を近づけた



華夜「分身には気が付かなかったみたいね」



冬夜は悔しそうな顔をして



冬夜「くそっ、まだまだ母さんには勝てないのかよ…」



華夜「ふふっ、そう簡単には負けないよ
おいで冬夜。傷の手当てをするよ
あら…もう治ってるのね」



冬夜「当たり前だろ!
治癒の力が働いてるんだから」



いくら治癒の力があるとはいえ治るのが早過ぎる…



私の霊力と柚綺の魔力が1つになり
冬夜の中には私さえも超える大きな力が眠っている


それが治癒の力を早めているのね…
冬夜はそれに気付いてないみたいだけど…


冬夜「母さん?」



華夜「冬夜…前にも言ったけどあなたには私と父さんの強い力を受け継いでるの
その意味は充分分かってるね?」



冬夜「分かってるよ」



冬夜に私と同じ運命を辿らせたくない
唯一柚綺が残してくれた大切な子だから…



華夜「母さんは何があっても冬夜の事信じてるからね」



どうか冬夜には穏やかな日々を…
柚綺…見守っていて…

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