蒼き瞳~月の姫と悪魔~
さっきまで笑っていたのに杏は突然泣き出してしまった
理由は分からない
だけどそんな杏を見ていると心が痛かった
俺も…昔は泣き虫だったな…
――――…
子どもの頃…その頃の俺はまだ父さんの事も何も知らない無邪気な子どもだった
冬夜「母さん!一緒に遊ぼうよ!」
華夜「ごめん冬夜。今、手が離せないの」
その頃の母さんは今よりも忙しそうで俺に構ってくれる事が少なかった
仕方なかった
でもやっぱり寂しかった
仕方ないから1人でその辺をブラブラと歩いた
冬夜「しょうがないもん…
母さんはここの王だもん…」
自分に必死に言い聞かせ寂しさをまぎらわそうとしていた
でもその時に聞こえてきた
雪妖魔「……あの子があのルイスの子?」
雪妖魔「恐ろしい。あんな凶悪な奴の血があの子にも?」
雪妖魔「もし暴走でもしたら私達は……」
ルイス…?暴走…?なんの事?
でも自分がよく言われてないのは分かった
それが寂しかった心に突き刺さりとても悲しかった
華夜「あなた達」
雪妖魔「ひ、姫様!?」
雪妖魔「申し訳ありません!でも私達は…っ」
華夜「…誰もあなた達を責めたりしない
そう思ってしまうのは仕方ない事だもの
でも…あの子の存在を否定するような事は許しません
ゆっくりでいいから受け入れてほしい」
雪妖魔「はい…申し訳ありませんでした…」
母さんは話が終わると俺の方に歩み寄ってきた