蒼き瞳~月の姫と悪魔~

俺は母さんのいる部屋に入った


冬夜「エマ、母さんの様子は…」


ずっと母さんの状態が気がかりだった
もしかしたらと思っただけで怖かった


エマ「大丈夫です
傷はもうふさがりました
姫様の霊力も回復しつつあります

じきに目を覚ますと思いますがまた傷が開くかもしれないのでしばらくは安静ですね
黒刀の力は未知数ですから…」



それを聞いて俺は安心した
母さんが無事で良かった



冬夜「ありがとう
エマも今のうちに休みなよ
母さんは俺が見てるから」



エマ「ありがとうございます
では、姫様をお願いします」


エマが部屋を出た後俺は母さんの手を握って早く母さんの目が覚める事を祈った



*杏*


…どこからか漂う血の匂い

遠く薄れている意識の中私はこの手で華夜さんを…



杏「只今…戻りました…」



リノン「お帰り杏
上手くやったみたいね

ふふ、可愛い杏…
今あなたにかけた魔法を解いてあげる」



パチンと指を鳴らすと私の意識はフッと戻った



杏「…………」


しばらく何があったか思い出せなかった


リノン「とりあえず任務は終わりよ
これくらいで華夜がくたばるとは思わないけど…
まあ…どちらにしろ大きな傷にはなったでしょ
私はもう休むわ。後は頼んだわよ」


リノン様が出て行った後私は鮮明に思い出した



冬夜…私が冬夜を斬ろうとして…

記憶が蘇ると共に体が震えていった

そこに華夜さんが出て来て…私はそのまま…


杏「…ならこの血は…華夜さんの…?
私が…華夜さんをこの手で…っ
―――いやあぁっ!!!」


神経がおかしくなりそうだった


リノン様の笑い声が微かに聞こえた
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