アフター7の婚約者サマ!?
八王子さんは私の方に寝返りを打ち、「悪いな」と額に手をあてた。
「話ってのは、美香のことなんだけど……。
あいつ……俺の元カノなんだ」
「え……」
思いがけない告白に、胸に矢が突き刺さったかのような痛みが走った。
美香さんと…付き合っていたの……?
呆然とする私を見て、八王子さんは「ごめん」と零した。
心臓がバクバクいって、頭がくらくらする。正直に言えば聞きたくなかった。聞くのが怖かった。
「八王子さん……」
けれどー…。
あなたがずっと隠していた心の傷。
その話になるといつだって苦しそうだった。
きっとあなたにとって思い出したくないほどの出来事なんだと思う。
それでも今、私に傷を見せようとしてくれている。
それはきっと…ものすごい勇気のいることだから。
聞くのが怖いって理由だけで、私が逃げちゃいけないー…。
切なそうに目を伏せる八王子さんを見て思ったんだ。
大好きな人にこんな悲しい顔をさせたくないって。だから……。
「大丈夫です。続けてください」
もしも私に、あなたを救う術があるのならー…。