アフター7の婚約者サマ!?
言っている意味がわからなくてキョトンとしていると、八王子さんはゆっくりと頭を起こして、そしてじっと私を覗き込んでくる。
「なぁ悠里……。この前出かけたとき…俺を好きって言ったのは本当?」
ドクン、と心臓が鳴った。
まさか八王子さんからそのことを言ってくるとは思っていなくて……。でも、前に好きだと伝えてしまって困らせてしまったのも事実。
だからどう答えていいかわからなくて……。
八王子さんの瞳に、戸惑う自分の姿が映る。
「私は……っ」
ううん、違う。
本当は……恐かったの。
もう一度この想いを伝えて、振られて。あなたと二度と離せなくなってしまうかと思うと、それがたまらなく恐かった。
「私…は……っ」
震えてギュッと両手を握りしめていると、ふいに。
「……っ」
八王子さんが上に手を重ねた。そして伏し目がちに笑ったんだ。
「……悪い。俺が言うべきだったな。
おまえの気持ちを確かめてから言おうなんて、ずるいことした」