アフター7の婚約者サマ!?

言っている意味がわからなくてキョトンとしていると、八王子さんはゆっくりと頭を起こして、そしてじっと私を覗き込んでくる。


「なぁ悠里……。この前出かけたとき…俺を好きって言ったのは本当?」


ドクン、と心臓が鳴った。

まさか八王子さんからそのことを言ってくるとは思っていなくて……。でも、前に好きだと伝えてしまって困らせてしまったのも事実。

だからどう答えていいかわからなくて……。

八王子さんの瞳に、戸惑う自分の姿が映る。


「私は……っ」


ううん、違う。

本当は……恐かったの。

もう一度この想いを伝えて、振られて。あなたと二度と離せなくなってしまうかと思うと、それがたまらなく恐かった。


「私…は……っ」


震えてギュッと両手を握りしめていると、ふいに。

「……っ」

八王子さんが上に手を重ねた。そして伏し目がちに笑ったんだ。


「……悪い。俺が言うべきだったな。
おまえの気持ちを確かめてから言おうなんて、ずるいことした」

< 196 / 231 >

この作品をシェア

pagetop