アフター7の婚約者サマ!?
謝りながらも、美香さんの口調は明るくて。
「……」
肯定も否定もできなくって、私は何も言えずにうつむく。重苦しい空気が流れ始めたとき、美香さんは私の前を過ぎて化粧台の前に立った。
「あのさ……」
そして静かに口を開いた。
「姫川ちゃんは私と咲人が付き合ってたことは知ってる?」
冷たい口調に、ズキンと胸の奥が痛んだ。鏡越しに見える美香さんは、睨みつけるような目をしている。
まるで今の婚約者である私を責めるかのように……。
けれども私は、八王子さんを信じると約束した。ここでひくわけにはいかない。真っ直ぐに美香さんを見据え、そして答える。
「知ってます」
「じゃあ別れた理由も?」
「………知ってます」
「そっか……。咲人から聞いたんだね」
私が頷くのを鏡越しに見て、美香さんはゆっくりと振り返った。