アフター7の婚約者サマ!?
「……は、八王子さん//」
びっくりして、前のめりになりながら八王子さんを呼ぶけど振り返ってはくれない。
「………遅いから、送っていくだけだ。婚約者を夜に一人で帰らす男がどこにいる」
「…………っ」
そのまま八王子さんはタクシーを捕まえ、家まで送ってくれた。
帰りのタクシーの中、私達はほとんど言葉を交わしていない。
窓ガラスに流れていく外の景色に映された車内に見える八王子さんの顔。
その漆黒の瞳を見るたび、心臓がうるさくなる。
大好きな人の婚約者のふりをするなんて……
思いもよらぬ出来事に、その夜はほとんど眠ることができなかった。