アフター7の婚約者サマ!?
「何寝ぼけたこと言ってんだ?俺は昨夜おまえに会った覚えはない」
「え……?でもお洒落なバーで……」
「おまえまだ酒入ってんのか?妄想も大概にしろよ」
八王子さんは呆れたように言って、佐田君の手に分厚い書類の山を置く。
「いつまでも意味不明なこと言ってないで、さっさと仕事しろよ」
涼しい顔で言って、八王子さんは席へと戻っていった。
佐田君はその書類を見つめ、?マークを浮かべて立ち尽くしている。
「…………」
デスクにつくと、八王子さんはいつも通り書類のチェックに入る。
その様子を見た社員も皆、各自の持ち場に戻り、部署は仕事モードへと変わる。
キーボードを叩く音や、プリンターの音が響き渡る室内で、佐田君だけが一人、納得がいかない顔をしていた。