笑顔、こもれび。
「...ちがーう」
拗ねたように頬を膨らませると、さらに面倒そうな顔をされた。
悔しかったから、そのままの顔で私は口を開いた。
「例えば、花火とかさ。綺麗でしょ?だから作り方とか調べたりして。ぜんぶ覚えてる。化学で使う溶液が染まる色とか、カラフルなやつは可愛いから覚えた」
「....ぜんぶ?」
「ぜんぶ」
夏目くんは、ぽかんとした。
そして、なんとも言えない顔をする。
どうせ、変な奴だとか思ってるんだろう。
「あとは、花言葉とか。素敵だから、調べまくって覚えたよ。花屋に売ってるようなお花は、大体ぜんぶ言える」
人様に披露できる特技といえば、このくらいだ。
私と花屋に行けば面白いと思う。
あとはね、と話を続けようとしたけど。
......初めて見る、わらう夏目くんに、私は何も言えなくなった。
「....な、なんで、わらうの」
「すげー単純だなあと思って。まあ、西森らしくていいんじゃねえの」
なんだそれ。
そう思ったけど、夏目くんから目が離せなかった。