笑顔、こもれび。
目を伏せて、下を向いて。彼は小さくわらっている。
まるで、彼のまわりの色んなものを許しているような、優しいわらいかたで。
....そんなにも、きみは。
やわらかな表情を、するんだね。
「......」
何かが、私の中を駆け巡る。
どうしてか泣きたくなって、唇を噛んだ。
シャーペンを握り直して、ポツリと「勉強、します」と言った。
突然静かになった私に、夏目くんは不思議そうな顔をする。
最近、彼のわずかな表情の違いに気づくことができるようになった。
ああ今は機嫌がいいんだ、とか、今少し呆れられたかな、とか。
....窓の外を見つめる横顔が、今日は寂しそうだ、とか。