笑顔、こもれび。
私は、夏目くんを見上げた。
堂々としたその姿に、言葉に、胸の底からじわりと何かがあふれた。
朝木さんは、真剣にそう言う夏目くんに、今度こそ瞳に涙を溜めた。
そして微かに震える声で、「ありがとう」と言う。
....夏目くんはやっぱり目を伏せて、わらっていた。
*
あれから私の頭の中では、あのときの夏目くんの表情が、ひたすらぐるぐると巡るようになった。
『綺麗だよ』
そう言った彼の瞳には、なんの迷いも躊躇いもなくて。
本当に真剣に、朝木さんだけを想って言っていたのが、わかるから。
私はもう、くるしかった。
彼の想いがどういうものかが、やっとわかった気がした。
それは私が感じていたものよりずっと繊細で、深くて。
お人好しとか、そんなものじゃないと思った。