笑顔、こもれび。


鞄から、先生に渡された課題のプリントを取り出した。

前を見ると、椅子に座った夏目くんが、鞄から文庫本を取り出そうとしていた。教える気あるのかこの人。

窓からの涼しい風が、彼の黒髪をなびかせる。

その様子を見つめながら、私は席に着いた。



.....彼は、頭がいい。


校内で、いつも三位以内に入っていると聞いた。

趣味は読書で、よく図書室に入り浸っているのを目にする。

ルックスも悪くない。

顔良し頭良し、とくればあとは性格だけど、残念ながら彼はあんまり愛想が良くない。

友達と、声をあげてわらっているのを見たことがないのだ。

決して、友達がいないというわけではないけど。

その友達というのも、大体が頭の良さそうな人ばかりだから。

私のような馬鹿野郎を相手に、まともに教えてくれるのだろうか。




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