笑顔、こもれび。


窓から見える中庭に何があるのだろうかと気になって、彼が用事で席を立っている間に、外を見下ろしたことがある。

中庭には木が何本か植えられていて、柔らかな陽射しを受けて、木漏れ日がゆらゆらと揺れる。

その木の幹に背を預けて、文学少女のごとく本を読む、女子生徒。

彼が見ているのは、どうやら彼女のようだった。





名前は、朝木めぐ。

私達と同じ二年生で、図書委員をしている。

毎週火曜と金曜に、図書室のカウンターに座っている彼女。

どうやら天気のいい放課後は、いつも木陰で本を読んでいるらしい。

その空間だけ小説の中に迷い込んだかのような雰囲気があって、女の私でさえ見惚れた。

そんな朝木さんを見つめる、彼の横顔を垣間見る内に、私は気づいたのだ。

彼が私に勉強を教えることを承諾した、理由を。



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