笑顔、こもれび。
「それ、私の手作りなの。趣味なんだけど、せっかく作ったから誰かに使ってほしくて。図書室に置いてもらってるんだ。よかったらひとつどうぞ」
「本当に?やったあ」
素直に嬉しくて、たくさん種類のある栞を手に取って選ぶ。
朝木さんは、すごいな。綺麗で優しくて、こんな可愛い栞まで作れて。
黄色いタンポポの栞を見つめながら、私は目を細めた。
「....朝木さん、ってさ」
「うん」
「付き合ってるひと、いるよね?」
唐突、すぎたかな。
ちらりと栞から彼女の方へ視線を向けると、きょとんとした目でこちらを見ていた。
「いるけど....どうしたの?」
「...ううん。ふたりとも、お似合いのカップルだなって」
つい昨日のことだ。
あの木の下で、仲良く寄り添う男女を見かけたのは。