幼なじみ以上恋人未満【完】
女なら絶対嫌がる場所だ。
少なくとも俺が付き合ってきた女は、ほとんどこのガソスタの匂いが嫌いだと言っていた。
働くなんて、もってのほかだと。
だけど、唯はそんな俺の問いかけににっこり笑顔を見せた。
「全然嫌じゃないよー?むしろここで働かせてくれて感謝だよ。店長さんやスタッフのみんなも優しいし、仕事も私に合ってるのかも。ほら、私って頭悪いから難しいことって覚えられないじゃん?でも店長さん、私に簡単な仕事まかせてくれてるみたいだし…」
ああ、やっぱり唯だ。
唯は逆境を追い風に変えることができる。
それは俺も羨ましいといつも思っていた。
そんな考え方ができるやつ、俺の周りにはいなかったから。