幼なじみ以上恋人未満【完】
そう言って私の腕を掴み、部屋に向かった。
「優斗!待ってっ…」
お母さんの声がリビングに悲しく響き渡る。
優斗は大きいバッグの中に、部屋にあるものを乱暴に詰め込んでいった。
「優斗…ちょっと待ってよ、冷静になって…」
「冷静だよ俺は!」
そうは見えない。
きっと優斗もあんなことお母さんに言いたかったわけじゃないと思う。
もう一度向き合うことはできないのかな…
その時、リビングでゴトンッ!と大きな音がした。
「な、なに!?今の音…」
「しらねー。ほっとけば?それよりこれ詰めるの手伝って」
「待って…私見てくる!」
なぜかすごく嫌な予感がした。
急ぎ足でリビングへ向かうと、優斗のお母さんがうつ伏せになって倒れていた。
「ゆ、優斗―――――!」
私の叫び声と同時くらいに優斗がきた。