幼なじみ以上恋人未満【完】
「それって…まだ優斗のお父さんのことが…」
「ええ。私も離婚してから気づくなんてバカよね。あの人を失って心に穴が空いたようだったわ。最初はプライドが高い私が離婚して、そのショックを受けているだけだと自分でも思っていた。でもそうじゃなかったのね。優斗が笑うたびにあの人を思いだすの」
優斗ママは遠くを見つめていた。
その目には涙が溢れていた。
「旦那を忘れたくて客と関係を持ったりもした。…でも心は全然満たされなかった。あの人の代わりはいないのよ。」
「そうだったんですね…」
「それに私、優斗にひどいこと言ってしまったの。“あの人を思い出すから笑わないで”って。そしたらあの子、その日から笑わなくなってしまった…本当はね、笑顔が沢山見たかったのに…」
「ちゃんとその思いを伝えれば良かったんじゃ…」