幼なじみ以上恋人未満【完】
すっと、目の前に手を出された。
その手を握るとぎゅっと握り返してくれた。
大きくて、温かい手。
こうやって優斗と手が繋げるのもまだ夢のよう。
川に行くまでの道のりは、自然に囲まれていて空気がとても澄んでいた。
「空気がおいしいね」
「そーだな」
「優斗とここに来れて…私本当に幸せだな」
ぽろっと本音を言ってみただけなのに、ふと横を見ると優斗が苦笑いしていた。
「な、なに!?なんか私変な事言った!?」
「いや…唯ってマジで素直だよな」
「え?素直??」
「そういうとこ、好きだよ」
笑ってまっすぐに私のことを見つめている。
ドキドキが止まらない。
優斗こそ、今日はやけに素直…。
私の方こそ大好きだよ、優斗。
「今夜さ、部屋から出てこれる?」
「今夜?」
「ちょっと二人っきりになりてぇんだけど」
どきっとした。