幼なじみ以上恋人未満【完】
あの時美緒をもっと強く引き止めていれば良かった。
後悔だけが残る。
「先輩…もうお見舞いこなくていいですよ?私ももうすぐ退院だし…」
「あ?気にすんなよ。俺がきたいから来てるだけだし」
美緒はベッドの上で苦笑いを見せた。
「私…本当に馬鹿ですよね…先輩にも迷惑かけて…そしてバスケまでできなくなっちゃうなんて」
「…悪い」
「謝らないでくださいよ、余計…」
言葉に詰まった美緒を見ると、目に涙が溢れていた。
「美緒…」
「本当にもうバスケできない…のかな…。私の右手…おかしいんです。指も思うように動かないし…握ることも…」
ボロボロと涙を流す美緒を、俺は抱きしめた。