幼なじみ以上恋人未満【完】
俺は怒りをなんとか抑えながらも、平然とした顔で笑った。
「へ、へぇ…まじか。お前あんなのがタイプなんだ?」
「あんなのってひどくねぇ?唯はかわいいよ」
そんなのわかっている。
昔から知っている。
唯は世界一可愛いんだよ。
お前なんかに絶対渡したくねぇ。
「まぁ…頑張れば?」
「うん、頑張るわ」
渉はさわやかな笑みを浮かべながら教室に入って行った。
俺は廊下の壁を思いっきり殴った。
渉は悪くねぇ。
悪いのは全部俺。
だから余計にむかつくんだ。
ヒリヒリしている拳を眺めていると、後ろから誰かに抱きつかれた。
「なぁーーにピリピリしちゃってんのー?」
この声は…
蒼空だ。