ふたりごと。
誰にも言わないこの想い

ああ、好きだな

然り気無い優しさを見せられたとき、
いつもと違う悪戯っ子みたいな子供っぽい笑みを見せられたとき、

それらを含めた結果、どうやら私はギャップに弱いらしい。

間違いなく顔に惚れた一目惚れだった
黒、が似合うその男に気づかれない程度の視線を送る。

叶わないとわかってはいるけれど、厄介なことこの上無い。

────初恋、というものは

あいつを見ているだけで楽しいし、話すときはちょっと緊張するし、他の女の子と話していたらちょっと一人前に嫉妬、とかしてみたりもする。
卒業間近に、両想いだってからかわれた時
もう好きじゃない
なんて強がんないで、素直に認めていたらって思うときがない訳じゃないけれど。

それは“○○生”呼び名が変わっても、変わらなくて。

でも物理的にも心理的にもかなり、遠くなった距離にもう好きじゃないって言い聞かせるのはそこまで難しくなくなった。

半年に1度、その頻度で思い出したように偶々そこに居合わせてからって呼ばれる渾名にどきどきして、反応に困って、つい怒って見せる。

可愛くないなんて自分が一番分かっているのに。

さいごに会ったあの時に、約1年ぶりにあったあいつはそんなに変わってなくて、忘れていた、思い出さないようにしていた、その感情を引き出すのは息をするように簡単で。

声をかけようにも、人見知りでコミュニケーション力の乏しい私には難易度が高すぎた。

あっちから気づいて声かけてこい。

何度も念じつつ友達にもバレないように何度もあいつを見ていた。

結局、言葉を交わすとこも出来なかったがまあいっかって、また会えるってそう思ってしまった私はなんだかんだ、人生を軽んじていた。

それから4ヶ月後、後悔に泣き続けるなんて知りもしないで。

何気なかった毎日が思い返されて、憎まれ口を叩きあってたのも懐かしくて、夏休み偶然会ったときの金髪が異常に似合ってて、1日1日を大切に生きなきゃって。

後悔を残さないようにって。
半端にしないようにって。



水無月20あまり9日、この日はあいつの日。


初恋は永遠が許される気がする、大好きだったよ、ばか。


fin.
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