ラブレッスン
『どんな思いなんですか?』





斜め後ろから声が聞こえて振り返る。

隣のビルでできた陰に入り、出入り口の壁にもたれ掛かった結城歩が立っていた。





「いつからそこにいたの?」





『由宇さんが来るほんの少し前かな?

気付くかと思ったのに空ばかり見てるから。』





手をかざしながら眩しそうに空を見上げた結城歩につられて私もまた空を見上げる。





『営業部まで由宇さんの話で持ちきりでした。』






「そう。賛否両論だったでしょう?こっちも同じようなものだったわ。」





いつもの小陰に向かって歩き出しながらそう言った私を結城歩は不思議そうに見てきた。





小陰にハンカチを敷いて座る私の横に何も敷かず壁に背中を預けて足を伸ばして座る。





「汚れちゃうわよ?」





『払えばすぐ取れるでしょう?
それより、意外でした。

俺の予想では由宇さん、相当参ってるかと思って心配してたのに。』





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