ラブレッスン
掴んでた腕をゆっくりと離してくれた。





ああ、察してくれたのね。



なんて安堵したのも束の間で。





口の端を少しだけあげて笑みを浮かべる、その表情にギクリと胸がイヤな音をたてる。





や、ちょっと…まさか…
まだ気付いてくれない?





「結城さ…」
『やだな〜。一緒に行く約束してたじゃないですか。
俺由宇さんが仕事終わるの待ってたんですよ?』





私が言い繕おうとした言葉を阻んで発したその言葉に、クラリと目眩を覚えた。




クスクスと笑いながら私を見下ろしてくる。





その意地の悪い笑みを見て思った。





…ワザとね?




ワザと二人に、私たちがこの後約束している事をわからせる発言をしたのね!?




……サイアクだわ。





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