ラブレッスン
必要なもの以外ほとんど手放して、両親の思いではアルバムと、あのしおりだけ。




『だからあんなに必死にしおり探したりしてたんですね。

……返してあげたほうがいいのかな?』






「いいの?」






『由宇さんがしおり手にした途端俺から逃げないなら。』





嘘でも逃げないって言えばしおりは戻ってくるのに。






「それは、保証できないわ。
だってあなたに振り回されたこの2日、すごく疲れたし。

手にした途端逃げ出したくなりそうだわ。

約束は出来ない。」






茹で上がった麺とパスタソースを絡めながら答えた私に





『由宇さんてばか正直で損するタイプですね。
せっかくの好機だったのに。

これでまた俺との関係は続くんですよ?』





そう言われて少しだけ後悔した。

けれど、どうしてか嬉しそうに微笑む結城歩を見ても、ムカついたり、イライラしなかった。




「もし返してもらって逃げ出しても、あなたそれを絶対許さなさそうだし。

約束は約束よ。あなたが満足するまで、しおりも我慢するわ。」





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