ラブレッスン
「……どいてくれる?」





後にしようとしたのに、なぜか目の前に腕が伸びてきて、
私の行く手を阻んでくる。




もう片方の手で首から下げた私の社員証を持ち上げた。




『企画部の遠藤由宇さん、ね…。』





「私の名前なんか知ってどうするのよ?

心配しなくても今の出来事を誰かに話すなんてしないわよ。」





社員証を持ち上げた手と、行く手を阻む手を軽く払って、進もうとする私に。





『へえ。口止め料とか必要かなって思っていたのに。
話のわかる人で良かった。』





「口止め料?」





聞き返した私に怪しく笑って見せたと思ったら
とんでもない言葉を発した。





『さっき俺に見とれてたんでしょ?

キスくらいならしてやってもいいけど?』



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