ラブレッスン
『違いますよ!遠藤さんに飲んでもらおうと飲み物買いに行っただけですよ。

ねえ遠藤さん?』





「え、ええ。」





答えてる間も握られたままの手に、ぎこちない返事をしてしまう。






どうしてこんな事…。





もし白岩チーフが気付いたら相田部長が困るんじゃないの?





握られた手に心臓があるんじゃないかって思うくらいどくどくと脈打つように感じて


それ以上に胸がバクバクとしてくる。





『遠藤さんお茶で良かったかな?』






入り口からゆっくりと近づいてくる白岩チーフ。





だ、駄目…





それ以上近付かれたら











ギュッと強く目を瞑った瞬間





握られてた手に解放感を感じた。






『遠藤さん?』






目を開けると不思議そうな顔でお茶を差し出す白岩チーフ。






『お茶じゃないほうが良かった?』





普通に声をかけてくるって事は…

気付かれなかった?





「い、いえ。ありがとうございます。」




お茶を受け取ろうと出した手は小さく震えていて





その震えで白岩チーフに勘づかれるかもしれないと思うと、手からじわりと汗まで出てきた。



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