ラブレッスン
目の前まで来ても顔を上げる事が出来なかった。





『僕には相談出来ない?』





聞いたことのない気遣わしい口調に思わず顔を上げた。






心配そうに私を見つめる瞳。






ーー以前の私だったら嬉しくて仕方のないことだったのに。






今は苦しくてーー








心配してもらってるのに苦しいなんて。







「…私と沢木さんとの間には、トラブルは起きてません。
仕事に支障は起こす事はありませんか……」







両肩を掴まれて顔を覗き込まれて、言葉が止まってしまった。







『…仕事とかそんな事より。

恋人として君を心配してるんだよ?』






ズキンッ






胸が苦しい音を立てて鳴った。






< 213 / 360 >

この作品をシェア

pagetop