ラブレッスン
『最初に無理言ったのは俺の方です。

しおりも今は手元に無いから無理だけど…ちゃんと…返します。』







「手元にないなら要らないわ。

あなたが幸せになれるように持っていて?

私…あなたにこうして変えてもらった事嫌じゃなくなってたから。

あなたにとったらたいしたものではないかもしれないけど…せめてものお礼として受け取って。」







『…そうですか。』







俯いた結城歩は…少しして顔を上げ、手を私の前に差し出してきた。






『今まで俺のワガママに付き合ってくれてありがとうございました。』






その手にそっと自分の手を重ねて握手をする。







「私こそ、ありがとう。」






私より低い体温の冷たいこの手。

















ずっと忘れない。











< 269 / 360 >

この作品をシェア

pagetop