ラブレッスン
『平気ですこれくらい。

それより、コレお返ししますね。

すみません。挟まってたはずだったのに渡し忘れたみたいで。』





今度こそ、私の手の中に戻ってきてくれたしおり。




手にとってようやくホッと出来た。





『明日渡さなくちゃと思って帰ろうとしたら、遠藤さんが屋上へ向かう姿見かけて。

声かけようと思ったんですけど、なんか必死だったからどうしようかと…

そんなに大事なものだとは知らずに返し忘れてすみません。』





「ううん。いいの。結城さんが拾ってくれてなかったら、
掃除のおばさんに捨てられてたのかも知れないんですもの。

本当にありがとうございました。」





折れてしまわないように大切に握りしめて深く頭を下げた。





『そんなに大切なものなんですか?その四葉のクローバのしおり。』





「ええ。父の形見のものなの。

………?」





話しててある矛盾に気がついた。



< 29 / 360 >

この作品をシェア

pagetop