ラブレッスン
ピクリと少しだけ動いたけれど、それきり動かなければ何も言わない。






その姿を見て、初めて結城歩の素の部分を見れた気がした。







こんな姿を見せるのは私にだけであって欲しい。






そんな独占欲も出てきて、ふと思った事。







もしかしたら結城歩も同じ気持ちだったのかしら?







私の怒る顔や、慌てる姿。




全てを自分のものにしたくて、私に近づいてきてくれたの?







興味本意ではなくて、自分を見て欲しいから。






そんな理由であって欲しいとただ願う。








「相田部長とは結婚しないわ。…少し前にもう終わってたのよ。」








頭を抱き寄せたまま、出来るだけ優しい口調でゆっくりと話す。







『………え?』






抱き寄せた胸の中から響くような声が聞こえてきた。






それがなんだかくすぐったく感じた。





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