ラブレッスン
壁に両手をついて腕で囲いを作られる。






前にもこんな状況なかった?







「もしかして…エレベーター降りてから?」







夜にしおりを探しに行って、結城歩に拾ってもらってて。






返してもらってエレベーターに乗ってたら相田部長が乗って来て…。








あの時相田部長が帰って行くのをボンヤリと眺めてたせいでしおりをまた落としたんだと思っていたけれど。








「あの時…しおりを奪い取ってたの?全然気付かなかったわ。」






顔を近付けて話し始める結城歩に、体温が上昇し始めるのを感じながら答える。





確かにあの時は、メガネ無しの私を誉めてくれた事にドキドキしてたかもしれない。






「赤い顔して部長の事ジッと見てるのが嫌で仕方なかったんです。

気を引きたくて由宇さんの手からしおり抜き取ったのに、全然気付かれないし。

…今だって赤くなってるのは、部長の事思い出して赤くなってるんですか?」







間近で見る結城歩の薄い唇から出た言葉にドキドキしながら首を横に振った。






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