ラブレッスン
『……取り合えず入って?』





結城歩の姿が見えなくなった頃、声をかけられて店の中へと入る。





『時間ないからシャンプーは無しで切っちゃうから、そこ座って。』




言われた席に座らされてエプロンをかけられ、髪を縛っていた髪ゴムをほどいて霧吹きで髪を湿らせていく。





『さて…。毎日髪縛ってるだろ?毛根から縛ってる方向にクセがついちまってるな。』





櫛で髪をとかしながら言う。





『毛先もパサパサ。切るしかねーな。』



「あのっ!」



たんたんと独り言を言いながら鋏を手にしたのを鏡越しに見て、さすがに黙ってられなくなり声をかけた。



「私、どんな風にされちゃうの?」





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