ラブレッスン
『歩には、一本に縛れない様に切ってくれって頼まれたけど?

聞いてないの?』





コクリと頷きながら泣きそうな気分だった。





どうして縛っちゃいけないの?





『まあ、悪いようにはしないから。』





そう言ってためらいもなく髪に鋏を入れる。





濡れた髪がハラハラと落ちていくのを見てたら悲しくなった。





別に髪に思い入れがあったわけじゃないけれど


自分の意思とは無関係に変えられる事にジワリと涙がこみあがる。












涙が零れ落ちない様にと、キツく目を閉じてただ切り終わるのを待っていた――




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