maverick.

いつもと変わらぬ終業のチャイムが鳴る。
そして誰とも話さず部活へ…………のはずだった。
「ミコト……ちゃんだよな？」
男子生徒の声がし顔を上げる。
「えっ…………!?」
動揺を隠せない。当たり前だ。私の目の前にいた人物はなんと、なんと、ヒカル君だった！
「あ、あの、えーと、な、何の用ですか……？」
私は馬鹿か。明らかに動揺しているのがバレバレだ。しかももう少し口調を柔らかくできないのか。このアホが。
「あ、いや、ゴメン。今度、一緒に帰らない？」
「はっっ……？」
アホ丸出しの顔で呆然と立ち尽くす。
やっと状況を理解し、必死に言葉を選ぶ。
「あ、あの、ご、ごめんなさい！」
おい、ちょっと待て。私今なんて言った？ごめんなさい？え？
自ら言った言葉に思考が追いつけなくてただボーッとした部活の時間が過ぎ、誰とも会わず帰宅。まぁ、会うといってもアカネぐらいしかいないのだが。
そのアカネも何故か今日は話しかけてはこなかった。
「自分何やってんだろ……」
なんか最近ため息が多い気がする。
全てはアカネに会ったからだ。と人のせいにするも、いや、違う。人のせいにしちゃダメだ。という水掛け論を心の中で繰り広げていた。
「ミコトーーー！ご飯ーーー！」
階下から母親の怒鳴り声が聞こえ、とりあえず思考をシャットダウンし、ダイニングへと向かった。