あゝ愛しの毒キノコ
「はい、どーぞ」
「うん。あ、あたしも何か手伝おうか?」
「いーよ。さっと作っちゃうから。テレビでも見て待ってて」
1人残されると、沈黙だけがそこにあって。テレビをつけてみれば、昔のドラマの再放送がやっていた。
先に飲むのは悪いかなと思いつつも、やっぱり素面ではいられない、と飲むことにした。
……困ったなあ。何で会っちゃったんだろう。
もういい加減に、終わらせなきゃいけないってことなのかな。
「長谷川、できたから運ぶのは手伝って」
しばらくして、キッチンから深瀬が顔を覗かせた。美味しそうな、香ばしい匂いがする。
「醤油の匂い?」
「うん。舞茸としめじが余ってたから、醤油バターで味付けた。あ、にんにく入れちゃって平気だった?」
「大丈夫。手伝うね」
「サラダとかは俺が持ってくから、これよろしく」
ドアを開けて、盛り付けされたお皿を深瀬から受け取る。
サラダまであるなんて。普段から、ちゃんと料理してるのかな。コンビニで済ませようとしていたあたしとは大違いだ。