あゝ愛しの毒キノコ
テーブルに並んだパスタとサラダ。何だか女友達の家に遊びに来たみたいで、ちょっと可笑しかった。あたしの友達のほうが、手抜きかもしれない。
混ぜるだけのパスタだったもんなあ。あたしもパスタのときはほとんどそうだし、深瀬ってちゃんとしてる。
「え、何。なんか変?」
じーっと見つめていたせいか、深瀬が不思議そうな顔をする。
「ううん。すごいなーって。いただきます」
「そうか? 長谷川もこんくらいやるだろ。いただきます」
手を合わせてから、上に乗っている舞茸を一口。にんにくと醤油、それからバターの味が口の中で広がる。
「最近はもう全然ちゃんと作らなくなったよー。深瀬は偉いね。すっごく美味しい。やっぱ混ぜるだけのやつとは違うねー」
思わず口元が緩んじゃうくらい、本当に美味しい。毎日こんなにちゃんとしたのを食べてるんだ。こんなに料理上手くて、深瀬の性格なのに。
彼女がいないほうが、不思議だ。
「モテるでしょー。ほんとに彼女いないのー?」
からかうように、笑ってみる。怖いけれど、いると言われればそれで終わってくれるような気もしていた。