知ることから始まるんだ!
明日奈はすぐに返事を書いた。
そして、なぜメールではなくて手紙を送ってきたのか尋ねてみた。
1週間ほどして送られてきた幸樹からの手紙には、こう綴られていた。
『メールにしたら、1年我慢できないような気がするんだ・・・。
手紙だったら何度も読み返せるし、振られた場合も燃やせば何もなくなるだろ。』
明日奈は少し胸が痛んだ。
(破り捨ててもいいとか、燃やせばとか・・・自信なさすぎだよ。
私ってそんなに信用がないのかなぁ。)
そこで明日奈は、変装してこっそり幸樹の勤務する大学の近くで幸樹が通らないか待ち伏せすることにした。
(きっとびっくりするだろうな。)
夕方4時頃から待って、5時をまわった頃、幸樹が大学から出てきた。
しばらく後をつけて声をかけようとした、明日奈だったが、それよりも先に幸樹に話しかける女性を目撃してしまった。
(うそぉ・・・)
「夏川先生、先生の論文拝見しましたわ。
カメレオンの飼育に繁殖の記録。
ほんとに先生がとてもかわいがっておられるのもよくわかりますし、他の爬虫類よりもずっとかわいいところがよく描かれていましたね。」
「いや、恐縮です。
カメレオンですが、彼は俺の親友なので観察してるというよりは、俺が救われている部分の方が多いんですけどね。」
「あの、カメレオンをはじめとしていろんなお話をうちの父も聞きたいらしくて、明後日の休みにでもうちにお夕飯食べにきませんか?」
「えっ?でも、教授はお忙しいのでは?」
「大丈夫です。夏川先生にきていただけるなら、とっても喜びますわ。」
「あ、そうですか。教授とゆっくりお話することもふだんはありませんしね。
わかりました、では明後日うかがいますとお伝えください。」
「はい!じゃ、よろしくお願いしますね。」
(教授のお嬢さんなんだ・・・。
そっか、うれしそうだったなぁ。
やっぱり先生には、そういう人の方がいいのかもしれないわ。)
明日奈は幸樹に背中を向けて、黙って帰ることにした。
すると次の路地で・・・
「どうして何も言ってくる気配もなく、帰ってしまうんだ?
明日奈。」
「えっ・・・なんで。
どうして、私・・・顔をほとんど隠してるのに。」
「研究室の窓から丸見えだった。
おかしな行動してるやつがいるなって思ったけど、すぐ明日奈だって気がついて。
けど、そんなわけないかと思ったり・・・ウロウロしてたんだ。
教授のお嬢さんのおかげで明日奈が会いにきてくれたとわかってうれしくて。
なのに、帰るなよ。」
「だって、先生からの手紙には破ってもいいとか、燃やしたら終わりだからとか・・・私きっと信用されてないんだと思って。
それに今の人には普通にしゃべってたし、私は何も先生のこと知らなくて。」
「なぁ、時間何時までならいいんだ?
時間があるなら、夕飯いっしょに作らないか?」
「いいの?」
「もちろん。」
そして、なぜメールではなくて手紙を送ってきたのか尋ねてみた。
1週間ほどして送られてきた幸樹からの手紙には、こう綴られていた。
『メールにしたら、1年我慢できないような気がするんだ・・・。
手紙だったら何度も読み返せるし、振られた場合も燃やせば何もなくなるだろ。』
明日奈は少し胸が痛んだ。
(破り捨ててもいいとか、燃やせばとか・・・自信なさすぎだよ。
私ってそんなに信用がないのかなぁ。)
そこで明日奈は、変装してこっそり幸樹の勤務する大学の近くで幸樹が通らないか待ち伏せすることにした。
(きっとびっくりするだろうな。)
夕方4時頃から待って、5時をまわった頃、幸樹が大学から出てきた。
しばらく後をつけて声をかけようとした、明日奈だったが、それよりも先に幸樹に話しかける女性を目撃してしまった。
(うそぉ・・・)
「夏川先生、先生の論文拝見しましたわ。
カメレオンの飼育に繁殖の記録。
ほんとに先生がとてもかわいがっておられるのもよくわかりますし、他の爬虫類よりもずっとかわいいところがよく描かれていましたね。」
「いや、恐縮です。
カメレオンですが、彼は俺の親友なので観察してるというよりは、俺が救われている部分の方が多いんですけどね。」
「あの、カメレオンをはじめとしていろんなお話をうちの父も聞きたいらしくて、明後日の休みにでもうちにお夕飯食べにきませんか?」
「えっ?でも、教授はお忙しいのでは?」
「大丈夫です。夏川先生にきていただけるなら、とっても喜びますわ。」
「あ、そうですか。教授とゆっくりお話することもふだんはありませんしね。
わかりました、では明後日うかがいますとお伝えください。」
「はい!じゃ、よろしくお願いしますね。」
(教授のお嬢さんなんだ・・・。
そっか、うれしそうだったなぁ。
やっぱり先生には、そういう人の方がいいのかもしれないわ。)
明日奈は幸樹に背中を向けて、黙って帰ることにした。
すると次の路地で・・・
「どうして何も言ってくる気配もなく、帰ってしまうんだ?
明日奈。」
「えっ・・・なんで。
どうして、私・・・顔をほとんど隠してるのに。」
「研究室の窓から丸見えだった。
おかしな行動してるやつがいるなって思ったけど、すぐ明日奈だって気がついて。
けど、そんなわけないかと思ったり・・・ウロウロしてたんだ。
教授のお嬢さんのおかげで明日奈が会いにきてくれたとわかってうれしくて。
なのに、帰るなよ。」
「だって、先生からの手紙には破ってもいいとか、燃やしたら終わりだからとか・・・私きっと信用されてないんだと思って。
それに今の人には普通にしゃべってたし、私は何も先生のこと知らなくて。」
「なぁ、時間何時までならいいんだ?
時間があるなら、夕飯いっしょに作らないか?」
「いいの?」
「もちろん。」