知ることから始まるんだ!
2人でシチューから炒め物までフルコース並にいろんな料理を作って食べても余りある肉の量だったので、お互いのお土産ということで、明日奈は残った肉料理を持って帰ることになった。


「奈々のことよろしくな。
俺はいつもと変わらず、ここと大学をいったりきたりだから。

あ、何かあったら・・・遠慮なく電話してきてくれよ。」


「もう、先生ったらそれじゃ、お父さんみたいだわ!」


「あっ、ごめん。
明日奈はきれいで優しい娘だから、ついつい言い方がオッサンめいてきて、だめだな・・・。」


「ううん、うれしい。
楽しみに待ってて。
勉強しにやってくるまで・・・ねっ。」


「ああ。テレビで見れなくなるのはさびしいけど、ここにきてくれるなら、俺は大歓迎だからな。」


幸樹に翌日の仕事のために予約されていたホテルまで、送ってもらって明日奈はその日休息をとった。




それから、明日奈はアシスタントをやめて獣医の勉強をしたいと父に告げた。

反対されるかと緊張していた明日奈だったが、にっこりと笑って父が賛成してくれたのには驚いた。


「お父様・・・怒らないの?」


「好きな人ができたんだろう?
それでその人の役にたちたいと思ったんじゃないのかい。」


「あ・・・。まだ何も言われたわけじゃないんだけど。」


「明日奈は思っているんだろう。彼のことを?」


「うん。」


「父さんはね、ほんというと明日奈にアシスタントをやめてほしくないんだ。
だけど、明日奈は兄妹の中でもいちばんワガママをいわない娘だっただろ。

もうちょっとワガママを言ってもいいんじゃないかなぁ・・・て心配もしてたんだ。

崇は父さんと同じでガンコだろ。
同じ道には進むもんか!って意地で店をオープンした。
優奈はしっかり者だが、絶対自分が誰かに合わせようとは考えない子だった。

いつも流れ的に明日奈は父さんのめんどくさい仕事ばかり手伝いようにさせられたよな。
その結果、変なストーカーや痴漢の心配までできて申し訳ない限りだ。

明日奈は母さんによく似てる。
文句は言っても愛する人をたててくれる娘だ。
父さんもそれに甘えてばかりはいかんだろ。
甘えていいのは私だけでしょ!って母さんが怒ってしまうよ。

そろそろ卒業だな。
でも、お世話になっている方々が困らないようにしなくてはならないから、ちょっと時間はもらうよ。
わかったね。」


「ええ。わかってるわ。
父さんが許してくれただけでも、私・・・ありがとう。」


「で・・・だな。アシスタント退職は許したが、結婚はまだ許したわけじゃないぞ。
きちんといいタイミングで2人で挨拶しに来なさい。」


「ま、まだ先のことです・・・たぶん。」

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