知ることから始まるんだ!
明日奈も大家である幸樹に許可はとらないと!と思って幸樹に電話すると、幸樹はもう怒っていなかった。


「明日奈・・・俺は怒ってないから。
ただ、心配で・・・。大人げなくてごめん。」


「先生・・・私うれしいです。
私のどこがそんなに気に入らないんだろうと落ち込んじゃったから。」


「気に入らないとこなんてない!!絶対ない!!
君がきれいで優しいから心配になっちゃうだけで・・・。
で、なんか用だった?
ずっと話したいけど、あと5分ほどで職員会議があってな。」


「あ、すみません、あのね、今日の夕方5時に祥万さんの彼氏さんがうちに来られるんです。
それで、今回滞在したら、祥万さんも彼について日本を出るんですって。」


「ほぉ!!真剣な付き合いしてたんだ。あいつ。」


「そうなの。ライエルさんとマネージャーさんも来るらしくて、マネージャーさんはビジネスホテルに移動する予定らしいんだけど、今日は祥万さんにとって特別だし、パーティーしてあげようと思ってるんです。
居間を飾りつけして使っていいですか?」


「ああ、そういうことなら、俺も早く帰って手伝うよ。
祥万のいつもの彼氏の自慢話からすると、かなりでかい男のようだしな。
いくらラブラブ関係だからって、大男の前に明日奈を近づけさせられないよ。」


「もう、先生ったら。
じゃ、待ってますね。」


「おぉ!じゃあがんばって腕をふるってくれよ。」


明日奈は幸樹ともにこやかに話せるようになって、はりきって居間の掃除から始めた。

そして食材もパーティー用ということで、父のアシスタントをしていた頃からのなじみの業者に頼んで必要なものを配達してもらうことにした。


「お久しぶりってことで、かなり安くしてもらえたし、お魚は先生にさばいてもらうとして・・・肉の方は私におまかせ!ってがんばっちゃうもんね。」


その日はちょうど、明日奈も学校や実習がない日で、久しぶりに料理の腕をふるうことができて、約束の5時にはすべて完璧に用意が整った。


「私こんな格好でいいかしら。
でも、私は今日はホステス役で主役じゃないのだから、スーツほど固くはなくても動きのいいワンピでいいわよね。」


そして5時3分には空港まで迎えにいった祥万から電話があり、到着は5時20分くらいということだった。


「もうすぐじゃない。大丈夫、ばっちりよ!」


「おぉ、ありがと明日奈。
もうちょっとだけ待っててね。」


「あまり慌てないでね。安全運転でどうぞ。」


「うん。」


「ただいま!明日奈、あいつら何時に来るって?すぐに料理にかかるよ。」


「先生!まだ大丈夫です。
祥万さんから電話があって20分くらいだそうですから。」


「了解。じゃ、着替えてすぐにとりかかるから。」


「なんか、今日の先生もカッコイイ!
すごくてきぱきしてる。
楽しみだなぁ。祥万さんのライさんってどんなすごい人なんだろう。」
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