知ることから始まるんだ!
妙ないきさつから、幸樹の家には明日奈の他に祥万とライエルが住むことになった。

そしてあろうことか、その1週間後・・・出て行ったはずの布施輝彦ももどってきて、なんと明日奈の従姉妹である美堂はるかもついてきた。


「はるか!!!」


「明日奈おねえちゃん!」


「久しぶりね。で・・・あの男の毒にやられちゃったの?」


「おぃ・・・毒って何?
僕は、はるかと真面目に付き合うことになったんだ。」


「ええぇええええええ!!!」


「はるか・・・マジ?」


「うん、だって輝彦さんってとっても楽しい人だし、お客様のおもてなしの仕方とか、人を癒す方法とか喜ばせる方法とか泣いてる子どもはどうしたらいいかとか、いろいろ教えてくれたんだもん。
それに、お母さんがいい人って認めてくれて、お父さんもいい経営者になれるって言ってた。」


「そう、それはよかったわね。
で・・・2人はそれを報告してくれるために来てくれたの?」


「ううん、ここで3か月ほど同棲させてほしくて。」


「ぶっ!!!ぶぅーーーーー!!!ゲホゲホゲホ・・・」


「先生、汚いですっ!」


「いや、すまない。研究室から声が聞こえるからコーヒーを持ってこっちにきてみたらね。
すごい話が飛び込んできたものだから。
同棲させてくれだって?」


「僕の家に泊まってもらうのがいいんだけど、今、建て替え工事中なんだ。
ホテルの方に泊まってもらうのも、仕事で呼んだみたいに見えるしね。」


「おまえの財力からすれば、スイート貸し切ればすむことだろう!
なのに何で俺の家に来るんだ?」


「明日奈といっしょに居たいって彼女が言ってるんだ・・・そしたらここでお世話になるしかないだろう。
しばらく頼むよ・・・大家さん。」


「おまえに大家さんなんて言われたくないぞ。
はるかちゃんはいいけど、おまえは自分のホテルへ帰れ!」


「待ってください。ほんとに私たち困ってるんです。
輝彦さんから学ぶことはいっぱいあるんです。
お願いです、幸樹さん・・・1か月だけここで生活させてください。」


「うーん・・・わかった。
1か月だけだぞ。それ以降は絶対ナシだからな。
それが約束できるなら、同棲許可してやろう。」


「ありがとうございます。ありがとう・・・幸樹さん。」



その夜更け・・・明日奈は台所で紅茶を1杯作って食卓に座っていると、幸樹も台所にやってきた。


「あれ、君も眠れないのか?」


「先生も?あ、あの何か作りましょうか。」


「いや、まだ少し仕事もあるし、コーヒーを淹れにきただけだから。
あ、なんかうちが短期間にすごいことになって、びっくりだな。
君にとっては、にぎやかな方が安心して住めるだろうけどね。」


「ええ・・・あの1つお聞きしたかったんですけど、この家はどうしてご兄弟で利用しないんですか?」


「この家はね・・・俺の母の遺産だから。」


「えっ!?じゃ、芳樹さんや和樹さんって・・・」


「うん、母親が違うんだ。彼らは父の後妻の子ということになる。
だから俺だけが、いかついヤツなんだよ。わかりやすいだろう?」
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