知ることから始まるんだ！

そこまで話したところで、慶吾が充を連れて遊びに行くと明日奈に言いに来た。

充は慶吾と出かけ、幸樹たちは明日奈の母の家に案内された。


「慶吾さんと充くんもいっしょに住んでいるんだろう？」


「ええ。私はお母さんの部屋に今は住まわせてもらってるの。
もともと慶吾さんと充くんの部屋はあったから・・・だけど、母と慶吾さんが同じ部屋を使ってなかったのかが不思議で。」


「もしかして・・・だよ、君のお母さんの恋人は慶吾さんじゃなくて、慶吾さんのお父さんだったってことはないのかな？」


「えっ？」


「充くんは君のお母さんと慶吾さんの間にできた子だとしても、君のお母さんが愛してた人は慶吾さんじゃないのではないかって・・・部屋から推理しただけだけどね。
本気で愛し合った２人なら、寝室をわけたりしないだろう。
君のお父さんのところから、すばやくいなくなったほどのお母さんなら・・・ね。」


「過去はもうどうでもいいわ。
私は実のお母さんの心残りだったことを・・・充を幸せにしてあげたいの。
だから、慶吾さんと・・・。」


「さっきの様子を見ていても慶吾さんが君を心から愛しているようには見えないのだが・・・。」


「いつも優しく接してくれるわ。
兄さんや先生がいるから冷たい感じなだけ。
先生にはほんとに感謝しています。
突然、出てきてしまって申し訳ありません。
でも、どうにもならないことや私がしなきゃいけないことまで、先生には関係ありません。
だから・・・もう、帰っ・・・」


「嫌だと言ったら？
俺が明日奈のお母さんの借金を何とかするから、いっしょに帰ろうと言ったら帰ってくれるか？」


「無理です。
無茶なこともう言わないでください。
先生いつも、言ってたじゃないですか・・・お邸にかかる税金が痛いって。
もう、私のことなんて・・・お礼と家賃はお支払しますから。」


「お礼なんていらない！俺は、明日奈がほしいんだ。
君が来たときから、君を好きになって、１日ごとにもっと好きになって愛してるんだ。」


「えっ！！」


「そりゃ、俺は慶吾さんよりも崇さんよりも年上だし、明日奈からもお兄さんかあるいはオジサン扱いしかされてないと思ってたけど・・・俺は、明日奈が、明日奈が好きだからずっとうちに居てほしいと思ってた。
こんな別れなんて嫌だ。
君がどうしても慶吾さんを愛しているというなら、もう何を叫んでも意味がないことなんだろうけど・・・。」


「先生・・・ったら。」