純愛デビュー
第1章
田舎暮らし
-カンナside-
どこまでも続く緑の中に
ある細長い田舎道。
ガタガタガタ....
砂利のせいで小さなトラックの
荷台に積まれた荷物が揺れ動き、
同時に助手席に座るあたしの肩もゆれる
しばらく進んで
そろそろ酔うかも...なんて思っていたら
トラックはある大きな平屋の前で止まった。
「ご到着しましたよお嬢さま。ご荷物はこちらで運びますので先に中へお入りください」
「ありがとう」
あたしは膝の上に乗ったハンドバッグと
つばの広い帽子を持って
石造りの門をくぐりぬけ、
少し歩いたところに
たくさんの花に囲まれた縁側が見えると
思わず笑顔になってあたしは走って駆け寄った。
「おばあちゃんっ」
「遠いところからよく来たねぇ、カンナ」
少し背中の丸まった温かい体に抱きつくと
一気に安心して思わず涙がこぼれた。
「ほらほら泣かなくても大丈夫だから。お母さんから話は聞いた、辛かったなぁ」
< 1 / 42 >