純愛デビュー
「白石入れー」
あたしは唇を噛み締めながら教室に入る
一斉に集まる視線には慣れている...
けど、いつもとは話が違って
転校生となると多少緊張して
こぶしにぐっと力を入れた
「東京から来ました、白石カンナです。よろしくお願いします」
「それじゃあ白石は窓側の一番後ろな」
あたしはみんなの視線を浴びながら席に着く
「それじゃあみんな白石に色々教えてやるように」
席に着いて一息つく間もなく
先生は教室から出て行ってしまった
ザワザワと生徒が騒ぎだすけど
みんなチラチラとあたしをみていて...
なんだかとても居心地が悪く
窓の外に視線を向けたとき
「ねぇ!」
声と同時に肩をぽんっとされ
前を向くとショートボブが可愛い女の子が
大きな瞳にあたしを映していた
「カンナって呼んでいい?」
「えっうん!」
あたしが笑顔で頷くと
彼女は嬉しそうに笑った
「あたし、牧野ゆり。よろしく」
「ゆりちゃんよろしくね」
「ゆりでいいってばー」
「わ、わかったゆり!」
「そうそう~」
ゆりは明るくて活発的で
可愛い見た目に反して男勝りな性格
そして
少しずつゆりと話しているうちに
あたしは気がつけばクラス中の女子に囲まれていた