純愛デビュー
あたしのクラス、2年1組を訪れる人が
昼休みになってやっと途絶えてきて
あたしはゆりとゆりの仲の良い葉月の3人で
机をくっつけてお弁当を食べていたとき
--ガラガラ
騒がしい教室のドアが開いて
なんとなく目を向けてみると
「カンナ」
「あっ拓真」
ドアのところに
相変わらず坊主頭の似合う拓真が
あたしをみて手招きしていた
「どうしたの?」
箸を置いて駆け寄ると
グイっとあたしの腕を掴んで
廊下に引き寄せた
「気をつけろよ?」
「えっなにが?」
拓真の目は真剣で
あたしが首をかしげると
静かに耳元に口を近づけた
「東京からモデルみたいな美少女きたってもう全校に広まってんだよ」
「え...?」
「それで、女タラシの先輩とか告白するって名乗りあげてんの。だからそんなの信じんなよってこと」
「それを...わざわざ教えに来てくれたの?」
あたしがびっくりしたように
拓真の顔を覗き込むと
「悪いかよ」
照れたようにそっぽをむいた
「ううん、ありがとう。気をつけるね」
「おぅ、それじゃ」
「またね」
それだけいうと拓真は
またいつもの笑顔で走っていなくなった