純愛デビュー
「で!なんで早瀬君と知り合いなの?」
「昨日学校に挨拶しに行ったとき、たまたま会っただけ」
「え~その割には距離近くないですか?」
「そっそこまでみてたの!?」
あたしが目を見開くと
葉月がゆりの口をガバッと押さえた
「ごめんねカンナ...みてた」
その様子がなんとも面白くて
あたしはお腹を抱えて笑った
「カンナ...笑顔も天使すぎ」
「そのえくぼとキュッと上がった口角下さい」
「...え?」
「「「アハハハハッ」」」
結局昼休みギリギリに食べ終わったあたしたちは
学校案内をしてくれるはずだったのに
机からほとんど動かずに5時間目を向かえた
5時間目は英語
お父さんの勧めで英会話を習わされ
留学経験もあるあたしの一番得意科目
だけど正直、東京の私立高校は英語に力を入れている
グローバル科だったから
ずいぶんとここは進度が遅れていて
あまりちゃんと聞いていなかった
窓の外からグラウンドを見てみれば
昨日と同じサッカーボールを駆けまわす男子達....
あ、いまは体育の時間か
なんてどうでもいいことを考えながら
ふと、何気なく今日はじめて右隣の男子をみると
彼はつまんなさそうに頬杖をついて
ぼんやりと黒板を見ていた
柔らかそうな黒髪は無造作にハネていて
横顔から伝わる鼻筋の綺麗な堀の深い顔立ち
適当にまくられたワイシャツからみえる
頬を支える腕は筋肉質だった
なんだか....綺麗だなって思った
男子なのに
綺麗って言葉が当てはまる
そんな感じ。
気がつけばあたしはじーっと横をみつめていて
その視線の痛さを感じたのか
彼はゆっくりと頬杖を外してこちらをみた