純愛デビュー
放課後になって
まだ教室には何人か生徒が残っていて
あたしとゆりは葉月の彼氏を待つついでに
教室で話していた
ふと窓辺を見てみれば
お昼あたしを睨んだように見えた女子も
数人と会話している
「葉月の彼氏、多野くんって言うんだけど早瀬君と同じクラスで野球部なんだよ」
「そうなんだ」
「グラウンドの整備で部活ないはずなのに遅いなぁ」
眉毛をへの字にして
廊下をちらっと見つめる葉月は
恋する女の子って感じで可愛かった
あたしも恋したらこんな風に可愛くなれるのかな
これは着飾った可愛さでもなくて
心から純粋に相手を想っているからこそ
出てくるものなきがする...
しばらくして
廊下のほうから慌しい足音が響くと
ガラっと勢い良く開いたドアの前に
「葉月、ゴメン」
見たことのない坊主頭の男子と...
「よぅ」
拓真が立っていた